矢面に立つという覚悟―kz(livetune)「Take Your Way」インタビュー

「Tell Your World」で一世を風靡、アルバム「Re:Dial」も大好評を博したkz(livetune)がSEKAI NO OWARIのフロントマンFukase(Vo)とのaddingシングル「Take Your Way」を6月5日にリリースした。前作の中島愛とのadding曲「Transfer」から約8ヶ月、進化したポップセンスが魅力のこの楽曲はミュージックビデオ公開から話題筆頭の存在となっている。「今までは場外だったが、今後はリング内で矢面に立っていきたい」と話すkz(livetune)、音楽やファッションまで多岐に渡る発言の数々から何かを掴んで欲しい。
取材・テキスト:misumi

奇をてらったサウンドをつくるというよりかは、もっとスタンダードなポップスをきちんとつくろうとしたんです。


kz(livetune)
「Take Your Way」というタイトルはそもそもどこからでてきたんですか?
kz:この曲に関してはタイトルはこれしかないなと思いました。やっぱり、仕事であっても、進学であっても、就職であっても「あの選択肢選んどけば良かったな」と思うことは誰にでもあるんですよね。僕もあっちを選んでおけば良かったなと思うことが多々あって、そういったものがアニメの内容とすごくシンクロしたんです。でも、略すとTYWになって、「Tell Your World」とまったく同じになるんですよ(笑)。

結構kzさんの曲って「T」から始まる曲が多いですよね(笑)。中島愛さんとのadding曲「Transfer」もそうですし。

kz:気がついたらトイズファクトリー(所属レーベル)から出してるもの「T」始まりの曲が多くなってますね(笑)。今回、サウンドも歌詞についても、今までいろいろ複雑化しすぎていたなと思うところがあり、もうちょっとストレートでシンプルなものにしようと意識しました。

今まではありがちなものってつまらないでしょっていう考えだったんですが、もうちょっと大人にならなきゃなと。それはサウンド面でも同じ事で、今までだったらトラップだったりジュークだったり、そういうあまり浸透していないジャンルのサウンドを面白おかしく取り入れていこうとか思っていたんですけど、咀嚼もできていない段階で取り入れるっていうのはすごく浅はかなのかなと。例えば以前やらせていただいた、西川貴教さんの「INVOKE」のアレンジだったり、ダブステップを取り入れたものはいくつかつくってはいるんですけど、ワブルをもっと咀嚼してつくったらもっと良くなったんじゃないかとか、そういうことも最近よく思うんです。だから奇をてらったサウンドをつくるというよりかは、もっとスタンダードなポップスをきちんとつくるということに専念した方がいいということをここ一年くらい「Tell Your World」をつくってからは意識しています。

今回のFukaseさんとのadding曲「Take Your Way」はまさに”ポップさ”と”シンプルさ”が前面に立った曲ですね。誰でも口ずさめる曲というか。

kz:そうですね。もうみんなで歌える方がいいやと(笑)。ClariSの「nexus」という曲があるんですけど、あれはものすごい複雑化したメロディーで盛り上げたら面白いと思ってつくった曲なんです。今でも大好きな曲なんですけど、どうしてもやっぱりみんなで歌おうとすると歌いづらい曲だし、もっとみんなで歌いやすい曲をつくろうというのは最近の心がけの一つになっています。まだ途中経過ですけど、これからもっとシンプルになっていくかもしれないですね。

Fukaseさんは実際会ってみてどんな印象を持ちました?

kz:Fukaseくんは会ってみると普通にフランクな人です。この楽曲制作が終わってからも仲が良いですし、この前も一緒に飲んだりしていましたね。SEKAI NO OWARIってバンドはみんな仲が良いんですよ。一緒の家に住んでいるっていうのもあるし、運命共同体的なものを感じます。なんかバンドっていいな、グループっていいなって思いますね。

ソロで活動しているとやっぱりバンド、グループが羨ましくなる時もありますか?

kz:ありますね。基本家でずっと1人ですからね(笑)。誰にも相談できないし、バンドっていうのはそれができてすごく羨ましいなと思います。音楽性の違いだなんだって喧嘩になることもありますけど、それでも誰かとモノをつくるのって楽しいなと思いますし。僕はキャラクター的にフルコントロールしたがっちゃうので、あんまり人と曲をつくるということに向いていないんですが、だからこそもう一度バンドはやってみたいですね、絶対後悔すると思うんですけど(笑)。

歌麿呂さんはクリエイティブクレイジー。この人に頼んで本当に良かったなと思いました。


ミュージックビデオ「Take Your Way」もフルアニメーション作品となっていて、なんていうか”良さ”が感じられました。

kz:今回も本当にすごいです(笑)。前作の「Transfer」もアイデアの宝庫だったんですけど、今回はテクニックの宝庫というか、日本のアニメーションのすごさが詰まっています。単純にいってしまうと、板野サーカス(超高速戦闘アクション)がやりたかっただけですね(笑)。線画と動撮、フルアニメーションとして完成させたもの3パターンを一度つくって、その3パターンをファンタジスタ歌麿呂さんが合成して、さらに歌麿呂テイストを加えるという完全にキチガイじみた作業工程で制作されています(笑)。3つつくって、3つ捨てて、1つの作品をつくるって完全にわけがわからないですよね(笑)。

歌麿呂さんって実際会うとどんな人なんですか?

kz歌麿呂さんはクリエイティブクレイジーですよね。たぶんものごとの優先順位で一番高いのがクリエイティブで、そのためにはたぶん死んでもいいんだろうなというような印象は受けます。本当に身を呈してやってくれるので、すごく信頼が置ける人なんです。今回もマスタリングぎりぎりだったんですけど、完全に放心状態でボロ雑巾みたいになった歌麿呂さんが映像を仕上げて現れてきて…その時はこの人に頼んで本当に良かったなと思いました。

クリエイティブに全力をかけているということは、この前歌麿呂さんが出した本『WHAT’S A FANTASISTA UTAMARO!?』を読んでいても伝わってきます。ファッションもオリジナリティーがあってすごく良いですよね。

kz:あれどこかで買ってるのか、自分でつくってるものなのか、すごく気になっているんですよね。ファッションといえば、僕の今のアーティスト写真もbodysong.っていうブランドの服なんですけど、結構ぶっとんだやつが多かったりして好きです。ドメスティックブランドって完全に分けの分からないデザインが多いから、なんかもうちょっと探して行きたいなって思いますね。面白い服つくってるところっていくつもありますから。

普段の服とかはどこで買うことが多いんですか?galaxxxyを着ているイメージが強いですが、他にもいろいろ着てたりしますよね。
kz:わりと渋谷PARCOの3階に生息しています。FRAPBOIS(フラボア)とか好きですね、たまにmercibeaucoup,も見たりします。昔ハイファッションがすごい好きで、RAF SIMONSとかDIOR HOMMEが好きだったんです、高すぎて全然買えなかったんですけど(笑)。でも、最近またハイファッション面白そうだなって思ってきていて、コレクションとかを見るようになりました。そういうハイファッションの面白さとフラボアとかの可愛さ、両方好きなんです。galaxxxyの奇抜さとかももちろん好き。

今日の衣装もフラボアですか?

kz:そうですね。靴もドットでフラボアです。別にドットが好きなわけではないんですけど…どっかのPandaナントカさんみたいに(笑)。ちょっとフラボアとかってユニセックスっぽいところがあって、女の子的にも可愛いし男の子的にも可愛いんです。Ne-netとかも、僕はあんまり着ないんですけど、わりと好きだったりします。他の色んなクリエイターさんとかも、服とかファッションについて話をもっとすれば面白いのになと思います。服の話も実は僕はもっとしたいんですよ(笑)。

人と接するというか、個人を出していくというか、人間そのものを出していくところまで持っていかないと最終的に残っていけない、人の記憶に残らない。


最近聴いた中で良かった曲、おすすめ曲は何かありますか?

kz:tofubeatsの「lost decade」はすごく良かったですね。あとはでんぱ組.incの「でんでんぱっしょん」、上坂すみれさんの「七つの海よりキミの海」ですかね。まぁそれがあれば2013年上半期はもう抑えた感じがあります(笑)。あとは、ジャスティン・ティンバーレイクの「Suit&Tie」とか、きゃりーの「ふりそでーしょん」ですね。みんな「にんじゃりばんばん」が好きっていいますけど、僕はやっぱり「ふりそでーしょん」なんです。

「でんでんぱっしょん」はWiennersの玉屋2060%さん作曲の曲で、展開がすごく面白い曲ですよね。

kz:あんなに細かい音の作り方ってなかなか僕はしないんですけど、あれをやれる人ってすごいなと思いました。たぶん一音一音まで位置が特定されているんです。僕はわりと全体のグルーブで持っていくタイプなんですが、「でんでんぱっしょん」や「でんぱれーどJAPAN」は音の粒で持っていくグルーブなので、あれを構築できるのはすごいなと。玉屋さんのことはすごく気になっていて、一度会ってみたい人の1人ですね。

最近のアイドル周りのシーンってどう思います?

kzでんぱ組.incが「でんぱれーどJAPAN」以降すごく良くなったと思います。この事実は、もうちょっと広げていきたいなと思うんですよね。あとちょっと思うのは、みんな奇をてらった感じになってますけど、もうちょっとスタンダードでもいいんじゃないかとは最近思います。

kzさんは日本の音楽シーンにおいて現在どのあたりのポジションにいると思いますか?

kz:どのへんなんでしょうね、場外じゃないですか(笑)。場外で試合を煽っている人みたいな感じだと思います。Fukaseくんもそうだし、ゴールデンボンバーのキリショーさんもそうなんですが、リング内で矢面に立つ人ってやっぱりものすごい覚悟があるんですよ。それができなかったから僕は今までインターネットにいたんですけど、今後はあれをやっていかないといけないと思うんです。それはtofubeatsが今頑張ってやっていることでもありますね。インターネットで作品を出してブイブイいわせる事って、ひょっとしたら全然今でもできていることだと思うんですけど、その次ってそこだと思うんですよ。人と接するというか、個人を出していくというか、人間そのものを出していくところまで持っていかないと最終的に残っていけない、人の記憶に残らないのかなと。だから無理してでもなんとかやりたいと思っています。僕はまだ場外で野次を飛ばしている段階なんです。

プロフィール

kz(livetune)

音楽プロデューサー「kz」によるソロプロジェクト。2011年12月には “Google Chrome – 初音ミク篇 -” の為に書き下ろした「Tell Your World」を発表。国内のみならず、全世界で話題騒然のCMとなり、動画投稿サイトにアップしたところ、約400万回の再生回数を記録する。2013年に入り、Lady Gagaファミリーの次世代再注目アーティストZEDDのRemix「Spectrum feat.Matthew Koma (livetune Remix feat. Hatsune Miku)」や村上隆初映画監督作品「めめめのくらげ」主題歌「Last Night,Good Night(Re:Dialed)」を手掛け、さらに自身の” 初音ミク” 作品の集大成とも呼べるアルバム「Re:Dial」をリリースし、さらなる高みを目指す!エレクトロサウンドをベースにエッジの効いたビートとハイセンスなメロディーラインが新たな世界観を作り出している。

関連サイト

livetune.jp
http://livetune.jp/

livetune | TOY’S FACTORY
http://www.toysfactory.co.jp/artist/livetune

kz (kz_lt) on Twitter

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